銀誓館学園。
ここで得たものはあるはずなのに、どうしてか。
何もかもが自分をすりぬけていくようで空虚な思いがつのっていく。
動けない。
どうしても、動けない。
うじうじした自分が顔を出す。
そんなのは嫌だ、誰かを悲しませるのは嫌だから。
理想像は変わっていない。
昔、衰弱した病人を看護するために、当然だからと何度も巡回してくれたお医者さん。
「私に何かできることがあれば、必ず参りますので」
そういったあの人の輝きがまぶしくて、僕は、私になった。
奥にあるものも変わっていない。
かつて、自分が殺してしまったアノ人。
きっと、僕なんかより何倍もうまく生きていけたであろう彼を浮かべる。
口数少なく状況を見やるそこにあこがれた。
僕は僕のまま、彼の面影をみつめた。
本当の僕はどこにある。
誰かが救えるものじゃない。
自分ではねのけなければ意味がない。
カウンターパンチのような衝撃が、残っている。
それを、失恋だと自覚したのはすぐだった。
何をやってるんだ、思いを断ち切ったのではなかったか。未練がましい。
……ああ、ダメだ、本当に、内をやってるんだ。
…………こんなことをしてはいけないのに……
もうダメだ。
そう思って、帰り道、身支度を考えていた。
郵便ポストをあけると一通の手紙が届いていた。
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