……驚きだった。
手紙の中身は、別に前にくれた手紙に対する返事だ。
内容も、大きく分ければ普通。
なのに、なんだろう。
力がわいてくる。
しみてくる。
不安が、消える。
さっきまで考えていた暗い思いが消えていた。
秋の空だというのに、不思議とぽかぽかと暖かい。
いてもたってもいられなくなって、僕は、思わず窓に向かって叫んだ。
「~~~~~~~!」
何をいったのかは覚えていない。多分迷惑もかけた。
けれど、腹の中のもやもやが、消えていた。
そうだ、こうすればいい。
自分で溜めこんだ鬱憤など、吐き出してしまえ!
無理をする必要などない。
今までどおりに、けれど今までと変わっていけばいい。
それが、できるんだから。
手紙とともにあった荷物をほどいてみると栗きんとんが入っていた。
「いただきます」
ほなかな甘みが心を癒してくれた。
ああ。
ああ。
この人が好きかどうかとか、そういう問題ではなく、思った。
この人は、本当にありがたい人なのだと。
だから、待とう。
つらくなったら、吐き出せばいい。
そして吐き出しながらすごして、待とう。
いつか戻ってくるあの人に、これまでの思いを全部吐き出すために。
銀・狼貴
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